社長コラム

COLUMN

ファーストステップ

この時期、正月早々に村山首相が退陣した後に橋本首相が誕生した頃で、時のリーダーに大いに期待したのを覚えている。しかし、そんな期待とは裏腹に、世の中はいよいよ不況感が強まり、求人情報誌を手に取ってみても週を追うごとにその厚さは薄くなる一方だった。そのような中、Bプランの1歩目になる仕事を決めるべくいろいろと業種を検討してみた結果、まずは印刷会社に行こうと決めたのだった。

「あれ?デザインじゃないじゃん」と思われるだろうが、まずはデザインしたものをどのようにして商品として世に出すのかを知りたかった。そして、もの作りとして、その最後の工程の部分を知っておこうと思ったからだった。それに印刷会社の中には自分のところでデザインをして印刷まで行っているところが多く、上手くいけばそこの会社で両方を学ぶ事ができるかもしれない。そういう考えもあって印刷屋を選んだ。しかし、やはり現実はそれほど甘くはないと後で知る事になるのだが・・・。さて、業種をフォーカスした事で自分としては目移りせずにピンポイントで職探しができる事にはなったのだが、なにぶん、職の絶対数が少ない中で探すのだから困難になるわけである。しかし、それでも、根気良く探していると、何件かヒットしてくる。そうなれば、すぐに行動ということでガンガン面接にいった。すると、なり手が少ないのか、それとも離職率が激しいのか、すんなりとある印刷屋に就職が決まった。ちなみに就職といってもまずは見習いからなので、アルバイトからだが・・・。

なにはともあれBプランの始まりだ。久しぶりの仕事に気合も入り、嫌が上にもボルテージは上がってくる。「さぁて何からやりましょう!」と元気よく初日に出社した。「それじゃまずこれからやってもらおうか」と任された仕事が、回転している輪転機を1日中チェックすること。「よっしゃぁ!気合入れてチェックします!」ちょっとバカみたいな私。輪転機と同様に私の気合も空回り・・・。ずーっと見てました。朝の9時半から夜の8時まで。ずっと。ずっと。・・・「ふぅ~ちょっと疲れてきたなぁ」と思い始めた頃、どこにでも優しい人はいるもので、余りにも暇そうに・・いや、疲れ出している私に、横で色を合わせている職人さんが、色合わせの工程や、仕上がりのものに対して、どこをチェックすると良いのかなどを丁寧に教えてくれた。「なるほど。なるほど」感心の連続だった。・・・・・・とそんな感じでゆっくりしながらも勉強の毎日を過ごしているとあっという間に1ヶ月が経ち、待望の給料日となった。楽しみにして給与を受け取りに行った。「ごくろうさま」と手渡された給与袋の中身は6万円だった。

6万円。 --- 現実は厳しい。見習いだから仕方ないとは思っていても、改めて厳しい現実に直面させられた瞬間だった。しかし、これぐらいで驚いていては、全くもって業界素人で、実はもっともっと厳しい現実のところで働いている人々を後に知ることになる。そして、それら様々の厳しい現実群が、私の目指すべく名分を生む事になっていくのだが、それはもう少し後のお話。

「現実は厳しくて強靭だ」ということを、身をもって体感したのと同時に、ある程度、印刷における工程を知ることが出来た。そして、ここで得た知識は現在もかなり役に立っていて、印刷物のデザイン業務の時は、印刷段階の事も考慮して制作するようにしている(とは言え、業界も日々進歩しているので古い知識なのかもしれないけれども)。

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