社長コラム

COLUMN

二人羽織制作

時はあっという間に過ぎていく。自分のペースを作ろうと頑張っていても、その思惑とは別に何の感情もないようにして時間は過ぎて去ってしまう。ゲーム会社で働き出したとはいえ、もちろん、急激に仕事ができるようになる訳でもないし、もちろん、社会的にも安定した収入を得ることができて死ぬまで安泰って訳でもない。昨日までと同じで見習い状態だし、待遇面でも大した進歩はない。それなのに、自分は他のデザイナーとは違う仕事をしているという心の中で何か勘違いをしたりする自分がいる。時間が何かに焦る自分を作り出していく。この時点ではまだその違和感を感じずに邁進していた。

会社に入って初めて“ SoftImage ”という3Dツールを触った。当時、ワークステーションにインストールされている状態で700万円ぐらいしたはずだ。だから、そうそう新人に何台も割り当てられる訳でもないので、1台を2人でシェアすると云うかなりトリッキーな状況だった。ちなみにこのシェア作業、間違っても二人羽織で行う安モンの芸人的作業や、マウスを2人で仲良く操作するラブラブ作業とかではない。時間を決めて2人で使いなさいというもので、各々ルールはそのペアに依存されていた。ちなみに私のパートナーはとってもいいヤツで話も合うので助かった。他を見るとちょっと「あれだけはご勘弁」というペアなどもいて(理由は云いたくない・・・)、何だか隣にいる彼がとっても素敵に見えたものだった。

と、そんなラブラブな日々もやはり時間が限られた中での制作になってしまうので、確実にストレスが溜まっていった。「あとちょっとだけ、あとちょっとだけ」、「早よ終われよ~でないとオレができへんやんけぇ」などと云う口論が周辺で聞こえ出すのにそれほど長い時間はいらなかった。まずい、このままではオレの素敵な相棒も軽い愚痴を言い出すに違いない、と警戒しながら横を向く・・・すると、「ボクはええよ。終わったら云うてな」 ------------ へっ?そ、そうなの?君、な、なんて素敵なヤツなんだ!私からナイスガイの称号を上げよう! と、もうとにかく人のいい彼に甘えっぱなしだったのだが、こんな状況が続くと、さすがに彼も予定通りにブツを完成させる事が厳しくなってくるので、やはりディレクターさんにはプチキレされたりする。そんな時にはこちらとしても、これまたさすがに申し訳ないし、その上、余りにも不憫なので(私のせいです)そのディレクターさんにこちらからプチ逆ギレをして彼の恩に報いたりしていた。

そんな感じで彼との友情を育みつつ仕事は進んでいったのだが、やはりストレスは収まらない。「オレに1日中触っていいマウスを与えてくれぇ~」周りのやつらのストレスもヒートアップしてきている。そんな時に、絶妙のタイミングでディレクターがダー○ベ○ダーの曲と共に現れ「明日から別のことをしてもらう。1日ごとに片方の者は絵を描き、もう片方の者は課題を制作してもらう」とのたまわれた。おおー!これぞ斬新な打開策!かなりのやる気が・・・・・出る訳ない。氷河期も真っ青の凍え死にそうなお寒い空気を物ともせずに、「じゃあよろしくな、しっかりやっとけよ。週末にチェックしに来んぞ!」と颯爽と去っていくディレクター。目の前の机には無地のB4用紙がこれでもかというぐらいにどっさり山積みされている。私たちはしょぼくれながら席を立ち始めた。あ~あ。だんだん訳分からん方向に来てるぞ~なんだかなぁ~と、皆、思い思いの愚痴を言いながら自分の席に帰っていくと、横の相棒は、早速、大量のB4用紙を持って来ていて、鉛筆を走らせ始めている。気のせいか顔も少し明るい。「あれ?もう描くん?」「うん、ボクは描いてるからマシン使ってくれてええよ。」「でも今日は使う番やんか」「ええねん。ボクはどっちか言うたらアナログの方が好きやから」「CGやるよりも?」「うん。ほんまはもっと絵を描いてる方がええけどなぁ。まぁそれでもツールも覚えんといかんから触ってたんやけどね」 なるほど実際に彼の描く絵はかなり上手い。その上、ちょっと独創的でデッサンもそれほど狂っていない。「絵とか習ってたん?」「うん。今も習ってるで」 うおっ!思わずひるんだ。なるほど、ど、どうりで。上手いわけです。

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